採用パンフレットの役割
近年、採用サイトなどのWebからの情報発信を積極的に行っている企業が増えていて、「紙のパンフレットをつくってもね」という方も多いかと思います。24時間どこからでも見ることのできる採用サイトの方が「より見られる」と感じるからだと思いますが、一部は当たっていますが、そうでない部分の方が大きいと私たちは考えています。
知られる機会が少ない中小企業(一部のBtoC大企業以外)の採用サイトは、発見されなければ誰にも見られません。
要するに、流入経路がないのでたどり着けないのです。
一方、紙媒体である採用パンフレットは、24時間どこからでも見られはしませんが、手渡す機会・経路さえあれば(嫌でも)到達させることができるメディアです。その特性を活かして、採用広告・広報の設計に組み込んでいくことで成果を最大化していけるのです。
今回の案件背景
東京都清瀬市が本社で、大手ゼネコンから受注する鳶土工工事を事業とするエイチエフユナイテッド様(以下、HFU様)は、高校生の採用を強化するための施策を考えておられました。
高校生採用の場合、大卒採用と違う構造であることに注意する必要があります。
・高校生採用
→自由応募ではない(高校を通しての応募)
・大学生採用
→自由応募
が大きな違いで、広告を届ける相手・構造として
- 高校生
- 保護者
- 進路指導室(高校)
の3者のに対するアプローチが必要になってきます。
採用広告・広報の方向として、各々の不安・課題を解決することが成功への鍵となってきます。
(HFU様の場合、紙媒体をつくった後の手渡す経路は、外部の高校の進路指導室向けの資料送付サービスを利用されました)
高校生採用での課題とその背景・障壁
高校生(本人)「社会に出る不安」
どんな会社の雰囲気なんだろう?
入社したらどんな生活になるの?
給与はいくら?
休みはどのくらい?
働かなきゃいけないけど、遊びたい。興味はあるけど、やっぱり不安。
具体的な“絵”が見えることで安心できる材料がほしいと思っている。
保護者「送り出す不安」
子どもを安心して任せられるか?
自分の子どもにつとまるのかしら?
寮はあるの?一人暮らしでも大丈夫?
制度や待遇が気になる
純粋に子どもを心配する気持ちと“自分の”価値観を子どもに押しつけがち(押し付けたい)。
知らないものに信頼感を持ちにくい(特に建設業に縁の少ない母親層)
進路指導室(高校)「紹介する不安」
求人を出している企業(・業界)すべて分かるわけではない。
学生の人生を左右することを考えると、知らない企業・理解が浅い企業を安易に紹介できない。
(⇔大手企業や実績のある企業のほうが、安心感がある)
仕事・業界の正確な理解はされていない。(ネガティブな誤解や違いが正確にはわからない)
立場上、間違いのない“ような”指導になってしまう。
制作コンセプト
鳶、建設業界のガイドブック+会社紹介
会社の紹介よりも先にまずは、業界のことを正しく理解できる内容。
その上で、自社がどの部分を担当しているのか、どんな会社なのかを紹介していくものにしました。
制作コンテンツ
1.建設現場をのぞき見
色々な職種の人が集合して成り立つ現場がビジュアルで説明
→主に保護者・進路指導室(高校)に向けた理解・誤解解消・安心を狙う。
かつ今後の進路指導にも使えそう(説明につかいやすい)ものであれば、あわよくば保存してもらえるかも、を狙う
2.社員インタビュー
新人とベテラン(家族を持ち始めたくらい)の2人の構成
→自社の良さを伝えるのではなく、高校生本人が近い将来と少し遠い将来をイメージできるコンテンツ。
加えて、保護者に向けては将来への安心をしてもらえるような内容にした。
3.社長インタビュー
全体構成で行けば半分を過ぎたあたりでようやく自社の説明(メッセージ)
→各社で想い・メッセージは違うので汎用性はだしにくいが、「この先も安心」を、想いだけでなく業界の統計などの数字をつかった構成にして、根拠を持ったものにした。
4.新人さんの家庭訪問
2年で改訂した際に追加したコンテンツで、実際に入社した社員のお宅に訪問して、本人・両親・社長の集合写真とインタビューを作成。
ひと目で分かり、感じやすい安心感などを生む狙い。
5.よくある質問
質問項目に一工夫で、不明点の「解決」に加えて別の機能(安心・好感)を加えることも狙う。
例)Q.怖い人が多いイメージですが・・・、Q.高所は怖そうで、危険に感じますが・・・など